産技ロボカップ研究部の方でORIGINALMINDさんのKitMillが導入がされたそうです。


自分は同じものを家に持っているわけなんですが、 自分のを組み立てた時には、しっかりした写真/動画の記録をしていなかったので、今回改めて「作業者視点」でのレポートを書いておこうと思います。
今後、別の人が同CNCをオーバーホールする際にでも参考になれば良いかと思います。

今回わざわざこの記事を書くことを決めたのは、今後このマシンにトラブルがあった場合の対処が出来る人が、自分一人しか居ない事に問題があると思ったからですね。
RRCsangiの記事は、機械の知識がない人が書いてるので仕方ないのですが、若干説明不足です。
あくまでレビューとして読むのがいいかと。
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手順の確認
組み立て手順としては
・加工テーブルの取り付け
・Y軸リニアガイドの取り付け
・Y軸移動ユニットの取り付け 
・X軸ユニットの組み立て
・Z軸ユニットの組み立て
・スピンドルユニットの組み立て

・Y軸テーブルに4本の支柱を立ててX軸ユニットをボルト止め 
・Z軸ユニットを取り付け
・スピンドル取り付け

・グリス付け
・バックラッシ調整
 →動作確認

当然ですがオーバーホールしたい場合には逆の手順を踏むことになります。
定期的にメンテナンスが必要なバックラッシ調整ボルトやリニアガイド、軸受け部分などは深く分解しなくても調整可能な設計になっていたので、問題ないかと思います。

リニアガイドの平行出しについて 

引き出し、ってあると思うんですが
アレっていうのは、スライドする部品の片側は本体に固定されていて、もう片側が可動側固定されています。 リニアガイドは引き出しのスライドする部品の高級版ですね。
テーブルユニットの動きを直線運動に制限したい場合などに使用します。

CNCの精度は、リニアガイドがどれ位しっかりした位置関係で固定されているか、加えて固定の機械的剛性にも左右されます。理想的な配置に近いほど、コンピューターの計算値に近い動きをしますので、加工精度は上がります。 
リニアガイドの技術情報はここら辺を参考に
オリジナルマインドさんのリニアガイド解説
リニアガイドの固定方法

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ダイヤルゲージを使用してリニアガイドの平行を出しています。
注意点は幾つか
・基準面を同じ向きに揃えて固定する
・ダイヤルゲージのチップを当てる面はレールの基準面側


リニアガイドには、製造時に基準面が用意されているので、固定する際には必ず向きを合わせないと、製造時に想定された精度が出せません。 

マニュアルにはフレームを治具にして平行を出すように書いてありました。
自分も実際にその方法でやってみましたが、ダイヤルゲージで寸法を見たほうが高い精度を出すことが出来たので、ダイヤルゲージ推奨です。フレームを治具として使う方法を試し測定してみると、両端で100μ近い振れが出ました。 
今回のマシンはダイヤルゲージで両端20μまで追い込む事が出来たので、充分かと思います。
X軸も同様の手順できっちりと平行を出しています。

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X軸のリニアガイドは、2本の間隔が極端に小さいので、てこ式のダイヤルゲージが便利でした。
ダイヤルゲージに着磁だけはさせないように注意です(マグネットスタンドに注意)。
Z軸も同様にリニアガイド間の感覚が狭いです。
加えてストロークも小さいので、調整が難しかったです。

駆動軸の平行出し
台形ねじの軸とリニアガイドの作る直線との平行を出します。

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加工精度はリニアガイドの配置で決まりますが、可動軸とリニアガイドの平行が出ていないと加工精度より深刻な問題が発生する事があります。
平行が出ていない=場所によってねじに加わる負荷が変化してしまうので、加工範囲手前側or奥側だけ脱調といったトラブルが発生する事があります。
ステップモーターの脱調は、Zがある程度切り込んだ状態であれば切込み量の不良でエンドミルを折損する可能性が非常に高いので、極力避けたいトラブルです。

 基本的にはマニュアル通りに組み立てれば大丈夫ですが、最終確認の方法として、駆動軸をフリーに(カップリングのイモネジ2本解除でOK)した後、手前側/奥側にユニットを寄せた状態で駆動軸を指で回します。
そもそも回らなければ問題ですし、場所によって硬さに差があるようでも調整が必要となります。
この最終確認は、グリスを塗り、バックラッシを調整した後に行うのが良いでしょう。

各軸ユニットの組み立て

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支柱を4本立て、X軸ユニットをM6のボルトで固定します。
その後、X軸テーブルにZ軸ユニットを取り付けます。

ボルトの締め忘れだけには要注意です。
※注意点
Z軸ユニットをX軸テーブルの垂直パーツに取り付ける手順で、Z軸ユニット側のボルト穴の半数は、緩めるだけで分離出来る鍵穴型の形状です。しかし、レール外側の鍵穴は低頭ねじを使用するため、ボルトを緩めても頭が穴を抜けないため、分離できませんでした。
設計ミスかも知れませんが、ここだけ注意です。

各軸の直角出し
①XY垂直を、4本の支柱のボルトを調整して出します。

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撮影している箇所がかなりズレてますが、スコヤとダイスとダイヤルゲージとハンマーを使用して、X軸Y軸の直角を出している所です。調整は4本の鉄の支柱を固定しているボルトを使って行います。SRのこの構造は凄く調整がし易かったです。

基本的には、4本有るボルトのうち1本を締め、ダイヤルゲージを使ってスコヤの垂直に出来るだけ近い位置まで持っていきます。位置を決定する時は、締めたボルトの対角線のボルトを締め(位置がズレないよう丁寧に)位置が狂っていないことを確認して、4本のボルトを締めます。
最終的にX軸とY軸の直角が出ている事をもう一度確認し、終了です。

XYの直角が狂っていると、正方形が平行変形に、円が楕円に加工されたりするので、ロボットの部品を製作する際に大きな問題となってしまいます。ギア等を製作した場合など、大きな影響が現れると思います。

②Y軸回転方向の傾きを、X軸テーブルにZ軸ユニットを固定するボルトを使ってX軸同様に調整します。
③X軸回転方向の傾きを、Y軸テーブルとZ軸テーブルを固定する面にシムを挟んで傾きを調整します。

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この作業は、必ず面出し作業が終わってから行います。
XY平面に対してのZ垂直を出す作業なので、基準平面の用意は絶対です。

Z軸の垂直が出ていないと、切り込み深さによってXY平面の位置がズレます。
加工に現れる影響としては、加工物のいずれかの面に、切込み量間隔で溝が現れます。
また、Z切り込みの際エンドミルに変な方向の負荷がかかるので、エンドミルにも良くないです。 

以上で①~③XYZの調整が出来ました。
軸配置調整は以上となります。 

精度出し後の平面出し

平面出しは、マシンの軸を調整する度に行ってください。
軸関係の調整をするなら頻繁に行う作業ですので、決して「傷がつくまでこのままで」とケチったりしないように。

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付属のデータだと、0.2切り込んで平面出しをしてくれるようです。
私もそのデータを使えれば良かったんですが、エンドミルが2Φしか手元に無かったので、その場でGcodeを生成してマシンに流して平面出しを行いました。1ずつ外側にオフセットして広がっていくだけです。
ちなみに付属のデータは1.5ずつ外側に切り込んでいくようですね。