久しぶりの更新になります、TADAです。
2018年3月30日~4月1日に行われたRoboCupJunior Japan Open 2018にスタッフとして参加してきました。30日は前日準備(プレ車検)、次の2日間で競技が行われました。

私は2018年7月1日時点で20才となるため、今年度はOBとしてスタッフ参加しました。

図2
OBのロボット
INPUT以外は赤外線ボール時代のロボットなので、ホールドエリアが深かったり、色が付いていたり。
ルールが進むに連れて、一緒に試合ができないロボットも増えていきますね。

大会を通して感じたこと

ここ数年でサッカー全体においてハードウェアの作り方が大きく変わったのは間違いないと思います。僕が最初に参加した2014年を振り返ると、ハードウェアの作り方そのものが大きく変わりました。
一方でソフトウェアとハードウェアのリソース配分が崩れかけていると指摘される事もあるようですが、ハードウェアのレベルが上がる事自体は良いことだと思いますし、もしそこに僕の影響があるとしたら、それはとても嬉しいことです。

RCJのメカに求められる堅牢性は意外と高い

ロボット競技をする時に、自律ロボットと手動ロボットの最も大きい違いとして、人間が操作する場合には、動かしていくうちに人間が知らず知らずのうちに『壊れない動かし方』を学習していきます。
自律ロボットの難しい所は、ロボットは「痛み」を知らないから、例えば人間が素手でコンクリートを本気で殴るようなプログラムであったとしても実装できる(人間は痛みを恐れる故にそういった動作はまず行われない)という点です。

つまり、プログラム次第では、ハードウェアが自壊するような動作もプログラム可能であり、それを制限する機構を考えるのは、現状では人間の手で予め実装しておくしか方法が無く、それをソフトウェアで解決するのは非常に難しいことです。
故に、自律ロボットは操縦型ロボットに比べて堅牢性を高めて作る必要があると思っています。

これに伴って、RCJサッカーで求められるハードウェアの堅牢性というのは、ここ数年の試合レベルにおいては思ったよりも高いものが必要になってくると思います。実際、今回のジャパンオープンを故障無しで乗り切ったチームというのは、かなり少ないのではと思います。

競技に参加する上で、ロボットが壊れないという事は、前提条件でありながらクリアするのが難しい課題です。今後もハードウェアの要求レベルは上がるでしょうから、とても楽しみですね。

サッカーオープンリーグのパッシブボール

今年2018年はパッシブボールが採用された最初の年になります。
ボールの検出センサには、全体の7割前後が全方位センサを使っており、単眼カメラを前方に向けるタイプは思ったよりも数が少なかったです。

パッシブボールの検出は、殆どのチームが最低限の機能を実装できている状況でした。最初の年でありながら、ほぼ全てのチームがサッカーをできている状態で、レベルが高いなと思いました。

ただ、赤外線ボールと同じレベルで動けるチームは非常に少なく、その中で赤外線ボール以上の動きをしていた長岡高専のCat-Botは衝撃的かつ圧倒的でした。
Cat-Botさん、(ほぼ全試合)コールド勝ちでの優勝、おめでとうございます!

パッシブボールは赤外線ボールよりも距離・角度の検出精度は非常に高いです。
特に距離検出精度においては、赤外線の比にならない精度で検出可能であるため、今後は赤外線ボールの時代よりも高いレベルの試合が行われることは間違いないでしょう。

また、全方位センサを搭載した事で、ゴールの色認識の普及も同時に進むでしょうから、ゴールの空いているエリアを狙って打ち込むなどの見ごたえのある試合がどんどん増えていくと思います。とても楽しみです。

ソフトウェア

オープンリーグに関して、赤外線ボールからパッシブボールに移行する際に、ロボットのソフトウェア設計として、入力段・処理段・出力段がきちんと独立した構造をしているチームと、そうでないチームがあったと思います。

そうでないチームというのは、ボールの各パターンに大しての出力条件が1つのフローで分かれているような構造のチームで、if文を使って各ボールの位置角度パターンに大して様々な処理が羅列されるようなタイプの実装はそれにあたります。

処理が独立した構造のソフトウェアにおいては、ボールの位置角度入力を赤外線から天球カメラへリプレイスすれば完成なので、以降ロボットは赤外線と同じ動きをするようになります。
初年度である今年は、スピード勝負的な側面も重なって、それができたチームとそうでないチームとで大きく差が出たのかも知れません。

ルール

審判講習会は1時間以上に及ぶ大議論大会のような状態でした。
ルールに関する曖昧な点なども議論されており、今後は議事録を取ると良いのではと思いました。

サッカーロボットの試合進行は非常に早く、声に出していくと、試合のプログレスに大してアナウンスが間に合わなくなります。アウトオブバウンズは第二主審に任せっきりでカウントするって状況が何度もありました。

現状の審判そのものがスポーツみたいな状況は結構やばいです…。
全国大会レベルの試合を正確に裁ける人は、全国的に見てもかなり少なくて、僕もまだ修行が足りません。とても難しいです。

できればルールや審判の難化は避けたいものです。
どんどん新規プレイヤーの参加が難しくなっちゃいます。

最後にNitroとのツーショットを(いつかやりたいと思ってた)
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