RoboCupJunior(以下RCJ)世界大会が近くなってきました。 最近、RCJ世界大会に向けての準備のためのミーティングに招待して頂いたんですが、ちょうど出張のフライトが被ってしまい参加できませんでした。 せっかく招待して頂いたいのにすみません。
本記事は世界大会に向けての準備について書きます。 私は2015年(Hefei, China)と2018年(Montreal, Canada)に選手として、2017年(Nagoya, Japan)にボランティアとして世界大会に参加しました。 選手として、あるいはスタッフとして、特に重要な注意すべきこと、準備しておいて良かったこと、逆にあまり役に立たなかったことがそれぞれ思い出されますので、簡単に書き綴ることにします。 誰かの参考になれば幸いです。
ロボットと周辺機器のロジスティクス
RCJのロボットは手荷物で持ち込み可能なサイズになるはずなので、必ず手荷物で持ち込むようにします。 ロボットを預け入れるのは、破損のリスクはもちろんのこと、Baggage lostして違う空港に行っちゃったりするリスクもあるため、必ず避けるようにします。 可能なら、ロボットとバッテリと充電器とPCとプログラマなど、それさえあれば最低限大会に参加できるもの一式はすべて手荷物としておくのが良いです。
ロボットを駆動するのに使うLi-Poバッテリパックは航空会社によって持ち運び可能な容量が決まっているので、事前に確認しておきます。 基本的に預け入れはNGなはずで、その持ち込み個数も決まっているはずです。航空会社のルールを確認しましょう。 例えば多くの航空会社で一般的な、一人あたり2つまで等の制限がある場合には、メンターの人などに協力してもらってなるべく散らして持ち込むようにします。
工具
はんだこては使用頻度が高い割には海外での電圧規格違いに弱い工具です。 現地の電圧できちんと動くか確認するのも大事ですが、出張用には乾電池タイプのはんだこてを用意しておくと間違いないです。
世界大会1日目
— Sci-tech@ロボカップジュニア班 (@ScitecHX) July 3, 2019
手持ちの半田ごてが全て壊れてしまいました。 変圧器かましても死ぬんですね。 皆さんも変圧器の電圧が正しく出るのか確証が得られるものを買いましょう。 超絶いい変圧器を買うことよりも、壊したことによる影響の方が高いので、ケチらずに買いましょう。 現場からは以上です。 pic.twitter.com/RjUUJu7OfZ
似たように電圧規格違いに弱い工具としては、電動工具やロボットのバッテリ充電器などがあります。 世界大会に行くと、電圧違いのせいでロボットのバッテリが充電できない特定の国のチームがちらほら現れます。 対策として、充電器はなるべく入力電圧レンジの広いものを用意するようにします。
2018年世界大会では、私のチームは小型の3Dプリンタ(Afinia H480)を持っていき、現地で必要な部品をプリントできるようにしていました。 世界大会当日にフィールドとクローラの摩擦が問題になったときに現場でソールをプリントして対応したりできたので、3Dプリンタの持ち込みはかなり有効だった印象が残っています。
英語を勉強するよりTwitterをしたほうがいい
自分も含め英語を得意としない人にとっては、世界大会選抜が決まった瞬間というのは「英語を練習しないと」と覚悟を決める瞬間でもあります。 ところが外国語というのは、選抜から大会当日までの数ヶ月しかもロボットを作りながらで時間がない中で何か改善できるようなものではありません。 個人の考えとして、英語学習は、世界大会までに最もやる必要がなかった事のひとつです。 中途半端な英語学習は、世界を相手にするロボットを作る貴重な時間を削ってまでやるべき事ではなかったと思います。
逆に何をすればいいかというと、日本語でもいいのでTwitterかブログに写真つきで進捗をつぶやきましょう。 本当にあなたのチームに魅力的なポイントがあって、技術的に優れた内容のことをしているのなら、言語が違おうが世界中のチームはあなたのロボットの製作に興味を持ち、それを観察に来ます。 私たち日本のチームが世界大会のロボットについて調べるとき、言語が分からなくても必死に見て学ぼうとするのと同じように、海外のチームは自分たちの製作物に目を向けてくれます。 大切なのは、目を向けた先に何かがあるように、自分たちの製作物を公開しておくことです。
ただし、ここでの主張は「英語力に不安がある」が「自分の製作を伝えたい」とき、写真や動画は未成熟な英語よりも正確にものを伝えてくれるであろう、というものです。 世界大会に出る上で、英語の重要性はまず否定できません。 あくまで優先順位を付けるなら英語は後回しだろうという話です。
大会中
大会中は楽しくて忙しくてつい忘れがちですが、写真をなるべく撮ります。 メンターや同伴の人、あるいはチームで手があいた人は、なるべく写真を撮ることに協力してあげます。 日本から複数チームが出ているなら、お互いを撮影し合うくらいのことができると良いです。
というのも、大会中はロボットのことに集中しており写真撮影が疎かになり、帰国していざ写真が必要になったタイミングで困ることが往々にしてあります。 世界大会への参加というのは、学生のキャリア上かなりインパクトのある成果なので、今後たびたび写真が必要になる事は間違いありません。 ぜひ選手同士協力したり、メンターの方がサポートしてあげたりして、今後のレポートに使えるような写真を多く残せるよう協力してあげてください。 特に、海外チームと交流しながら何かしてる瞬間の写真というのは、撮ってくれる人を指定しないと撮ってくれない上に、なかなか機会が訪れないので、メンターの方は特に意識して撮影してあげてください。
2017年名古屋世界大会併催カンファレンス”Workshop on Educational Robotics 2017”にて。 こうした質疑応答の場面などは、世界大会参加を対外的に説明する際には使いやすい。
大会後
日本からたった数名だけが体験できる貴重な機会なので、ぜひ写真や動画、ブログで経験や学びを共有してください。 多くの参加者があなたの成果に目を向けているので、繰り返しになりますが、目を向けた先に何かがあるように、なるべく多くを公開するようにしてください。 それが同輩や自分のためにもなり、今後の選手のためにもなります。
2018年世界大会の様子
Flickr等の無料サービス等を使えば、大会の様子などをオンラインのアルバムに残すことができます。 大会中の写真は、今後の参加者にとっては非常に多くの情報とモチベーションを得るチャンスなので、ぜひ可能な限り共有してみてください。
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